出前館の業務委託配達員に登録したいけど…
- 任意保険の登録が必須?
- 業務中は保険適用外?
- 見舞金制度って?
配達員の仕事をこれから始めようとする方が躓きやすい「保険」について徹底的に解説します。
出前館配達員は働き方によって保険の必要性が異なる
出前館の配達員には、二つの働き方があります。
「アルバイト配達員」と「業務委託配達員」です。
働き方によって、保険に関する待遇・対応が変わってきますが、今回の記事で解説するのは、「業務委託配達員」について、特に、元から保険に加入している人が少ない「自転車で配達する人」をメインにお伝えします。
業務委託配達員登録時に必要書類なもの
出前館の業務委託配達員とは、「出前館と直接雇用契約は結ばず、個人事業主として働く」働き方です。給料(報酬)は、成果報酬制で、配達した注文件数に応じてお金が支払われます。
そんな業務委託配達員として働くためには、下記のものが必要です。
- 顔写真付き本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
- 任意保険証
- 自賠責証明書(バイク・車で配達する場合)
- 事業用ナンバーの画像もしくは登録証明書
登録時、一番注意しないといけないのが、「任意保険に加入していることを表す書類」の提出が必須だということです。
アルバイト配達員は任意保険加入の必要はない
一方で、アルバイト配達員は、出前館と直接雇用契約を結び、働きます。成果報酬ではなく、時給制で給料をもらうことになります。
アルバイト配達員は出前館と雇用契約を結ぶので、「労災保険」が適用されます。
労災保険とは、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。(厚生労働省・東京労働局)
出前館のアルバイト配達員は、万が一の場合も国が設ける手厚い労災保険が適応されます。
任意保険の証明書を提出する必要もなく、また補償内容もしっかりしているので、個人単位で任意保険に加入する必要はないと言えるでしょう。
保険のシステムについて理解を深めよう
出前館の業務委託配達員は、任意保険に加入することが義務付けられています。
ここでは、保険の仕組みを理解しましょう。
出前館が推奨している保険内容について
まずは、出前館が推奨している任意保険の内容についてみておきましょう。
<出前館が公式に推奨している任意保険の補償内容>
- 対人賠償:無制限
- 対物賠償:1,000万円以上
- 業務中に適用されるタイプ
この3つの項目について、詳しく見ていきましょう。
対人賠償・対物賠償って何?
対人補償とは、「事故によって他人を死傷させてしまった場合の補償」のこと。
一方対物補償とは、「他人の財物(車や家)に損害を与えてしまった場合の補償」のことです。
他にも、「人身傷害保険」や「車両保険」など、様々な補償があります。
任意保険に何を、どこまで求めるかによって、必要なものは変わってきます。
自転車事故と言っても、相手への賠償が高額になるケースもよくあるので、まずは一番重要になる「対人」「対物」に注目しましょう。
業務中・業務外って何?
一般的なバイク保険や自転車保険の場合、「日常・レジャー使用」で契約しているため、業務中に事故を起こした場合、補償対象外となってしまいます。
出前館の業務委託配達員における
- 「業務中」とは、アプリで注文を受けた瞬間から配達が完了するまで
- 「業務外」とは、注文を待っている間やアプリをオフにして、自宅に帰るまで(仕事と関係なく、プライベートで自転車で移動する時も含む)
を指します。
いずれのタイミングでも事故を起こしてしまうリスクはあるので、「業務中」の保険、「業務外」の保険、両方に加入しておくのがオススメです。
「登録に必要だから、とりあえず適当なものに加入する」でも悪くはないですが、どうせ保険に加入するなら、意味のあるもの、安心できるものにしておく方が良いでしょう。
出前館業務委託配達員の「障害見舞金制度」って何?
任意保険への加入が必須な出前館業務委託配達員ですが、事故保険について、「配達中の障害見舞金のみ」は、自身で登録手続きをしなくても、運用されています。
※適用されるのは「配達中」の事故に限ってのみ
任意保険の補償内容を決めるときの参考にもなりますので、見舞金の補償内容についてもチェックしておきましょう。
【障害見舞金の概要】
給付内容 | 限度額 |
医療見舞金 | 最大25万円 |
死亡見舞金 | 1,200万円 |
後遺障害見舞金 | 最大1,200万円 |
入院見舞金 | 7,500円/日 (最大90日) |
傷害見舞金は「自身のケガへの補償のみ」です。
- 「配達中」のケガをさせた相手への賠償責任補償
- 「配達中以外」の補償
これらの補償は、障害見舞金制度に含まれていませんので、万が一に備えて必ず自分で加入する必要があります。
出前館業務委託配達員が入るべき保険とは
色々と解説してきましたが、ここで今までの内容をまとめます。
- 出前館の業務委託配達員に登録するためには、任意保険に加入する必要がある
- 「障害見舞金制度」は、「業務中・自身の怪我のみ適応」「相手への賠償補償なし」
- 業務中にも補償が適用される保険に加入した方が良い
- アルバイト配達員は雇用契約を結ぶため労災保険が適用される
ここからは上記の内容を踏まえ、「では一体、どんな保険に入ればいいのか?」具体例も交えながら紹介します。
出前館へ登録することだけを目的にするなら、補償内容にこだわる必要はありません。
ですが本記事では、出前館配達員として安心して稼いでいただきたいので、①業務外に適応される保険と②業務中にも適応される保険の両方に加入する前提で解説します。
人によって考え方は色々だと思いますし、お金もかかることなので、ご自身の判断で取捨選択して頂ければと思います。
①「業務外」に適応される保険
まずは、業務外のみの事故に適応される保険です。
こちらは、いわゆる一般的な自転車保険・バイク保険が該当することになるので、選択肢はたくさんあります。
保険会社を選ぶ時に重視するのがオススメなポイントは、「安さ」と「スピード」です。
当然、補償内容も大切な比較ポイントですが、基本的に「対人賠償:無制限」「対物賠償:1,000万円以上」をベースに、お好みで選んで頂ければ問題ありません。
そのうえで、
- 2つの保険(業務中と業務外)に加入すると想定すると、似た補償内容なら「安い」方がいい
- 出前館配達員の登録に任意保険証が必要なので、保険証書発行スピードが早い
そんなところがオススメです。
具体例を一つあげるなら、『PayPayほけんの「あんしん自転車」』が、
- PayPay利用者ならアプリからすぐに、最短1分で加入できる
- 加入した翌日には保険証書が発行される
- 基本プランなら、月額180円で賠償責任最大1億円の補償が受けられる
と、安さとスピードを兼ね備えているので、オススメです。
他には、『楽天自転車保険』なんかも、任意保険証明書が即日提出できます。
PayPayほけんよりは、少し金額が高めですが、「手術保険金」なども用意されています。
②「業務中」にも適応される保険
一方、業務中も補償してくれる自転車保険は、あまり数が多くありません。
ここでは、2種類の保険をご紹介します。
- 自転車安全対策協議会の『業務用自転車賠償制度』
- フリーナンスの『あんしん補償』
それぞれのオススメポイントを簡単にご紹介します。
詳しく知りたい方は、それぞれの公式サイトをご覧ください。
自転車安全対策協議会の『業務用自転車賠償制度』
こちらは、一般社団法人「自転車安全対策協議会」が運営している保険です。
業務中にのみ適応される保険ですので、PayPayほけんなど、業務外に適用される保険と組み合わせて使うのがオススメです。
- 2021年8月から事業者向け自転車保険に対応
- 自転車1台につき年間掛け金2,900円で、賠償限度額1億円(プランA)
※一般社団法人 自転車安全対策協議会の公式サイトはこちらから
フリーナンスの『あんしん補償』
フリーナンスとは、フリーランスや個人事業主を対象に、「保険・補償」や「売掛債権の買い取り」などのサービスを提供しているサービスです。
会員登録と同時に、フリーナンスの口座が作られ、その口座を取引先法人(例:出前館)からの報酬の振込先に設定することで、無料で保険に加入することができます。
- ”完全無料”で加入できる
- 即日加入OK
- 補償内容は「業務中のみ」「損害賠償補償のみ」「補償額は上限5,000万円」
- 上位プランである有料の『あんしん補償プラン』にアップグレード可能
【注意】自転車保険(任意保険)への加入を義務付けている自治体もある
そもそも、自治体によっては、自転車保険(任意保険)の加入が義務づけられている場合もあります。
自転車事故による高額賠償事例がニュースでも報じられ、注目されましたね。(例:2013年に、自転車に乗った男子小学生が歩行中の女性と衝突し、意識不明の重体になった事故では、約9,500万円の賠償金の支払いを命じられたことがありました。)
2022年4月時点で、自転車保険への加入を義務付けているのは、「30都府県1政令都市」となっています。(※9道県は、努力義務を条例で定めている)
自転車保険の義務化に関する条例の状況は、以下の通りです。(2022年4月時点)
【加入義務のある都道府県及び政令都市】
秋田県・山形県・宮城県・福島県・新潟県・長野県・群馬県・栃木県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県・長野県・静岡県・愛知県・三重県・福井県・滋賀県・奈良県・京都府・大阪府・兵庫県・香川県・愛媛県・岡山市・福岡県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県
【努力義務のある都道府県】
北海道・青森県・茨城県・富山県・和歌山県・鳥取県・徳島県・高知県・佐賀県
もしまだ加入していない方がいれば、「もしも」に備えて、この機会に任意保険への加入を検討してみてください。
デリバリー配達員も労災に加入できるようになった
出前館の保険事情に関して、もう一つ知っておいてほしいことがあります。
それが、「労災保険」についてです。
本来、労災は「労働者対象」
労災保険は、労働者の方の仕事中の負傷・疾病・死亡等に対して、保険金が支払われる国の保険制度です。
労災保険は、基本的に「労働者」が対象のため、出前館業務委託配達員のような「雇用契約を結ばずに働いている人や、経営者など労働者でない人たちは、労災保険の対象外とされていました。
出前館業務委託配達員も労災の「特別加入」が可能になった
ですが、2021年9月から労災保険の特別加入制度が整備されたことによって、出前館をはじめとするフードデリバリー配達員も、労災に加入できるようになりました!
- 労災保険料(給付基礎日額に応じる)・組合費(500円×加入月数)・入会金(1,000円)が必要
- ケガや病気で働けなくなったとき、休業補償がもらえる
- 副業でも労災保険に加入してないと、「副業でケガをして本業も休業した場合、本業で労災保険に入っていても、補償が受けられない
副業で出前館配達員をしている人はもちろん、専業配達員の方は特に、労災保険に加入することがオススメです。
少しお金はかかってしまいますが、万が一事故に巻き込まれ、働けなくなった時に、「休業補償」がもらえるのは、かなり嬉しいですね!
【補足】
ちなみに、出前館以外の、他にフードデリバリー会社の保険制度を簡単に紹介しておきましょう。
業務中の保険のうち、保険での賠償が元から用意されていないのが、主要なところでいうと「出前館だけ」です。
Uber Eatsやmenu、Woltには、業務中の保険が最初から適用されています。
まとめ:出前館の配達員は任意保険加入が必須|保険のあれこれ徹底解説
配達員の仕事をする前から、自転車保険やバイク保険に加入している方は多いと思います。
ですが、基本的に通常の任意保険の場合、業務中のケガには保険が適用されません。
登録することだけが目的なら、それでもいいかもしれませんが、万が一に備えて、安心して働きたいなら選択肢は2つ。
- 現在加入している保険が、「業務中」の特約に変更できないか確認する
- 新たに「業務中」に適用される任意保険に加入する
出前館配達員の場合、「いきなり任意保険の加入が必須です」と言われると、不安を感じている方も多いと思います。
しっかり問題を解決して、無事登録を済ませ、安心してバンバン稼げる配達員を目指してください!